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小川 達彦; Morev, M.*; 佐藤 達彦
Proceedings of 11th Meeting of the Task Force on Shielding Aspects of Accelerators, Targets and Irradiation Facilities (SATIF-11), p.51 - 58, 2013/10
原子核-原子核反応によって生成するフラグメントは、重粒子線治療や重イオン加速器施設における放射線安全の重要なファクターである。そのため、フラグメント生成反応断面積はこれまでの研究で継続的に測られてきたが、ターゲット,入射粒子種,エネルギーなどパラメータが多岐に渡る一方、一回の実験では限られた点でしか断面積が得られないことが問題であった。本研究ではTOF法とE-E法を組合せることにより、一回の重イオン照射でフラグメント生成断面積を各アイソトープごとにエネルギーの関数として測る手法を開発した。手法の妥当性を評価するために、400MeV/u酸素イオンの炭素ターゲットへの照射し、発生したフラグメントを本測定法により測定する実験を放射線輸送計算コードFLUKAで再現した。その結果、Heを同時に生成する反応の一部は(例: O(C,x)He+C), Heの同時計数ロスで断面積が過小評価される可能性が示されたが、50-100MeV/u以上400MeV/u以下のエネルギー域において断面積を数10%の誤差範囲内で測定できることが明らかになった。
岩元 洋介; 仁井田 浩二*; 沢井 友次; Ronningen, R. M.*; Baumann, T.*
Proceedings of 11th Meeting of the Task Force on Shielding Aspects of Accelerators, Targets and Irradiation Facilities (SATIF-11), p.91 - 98, 2013/10
高エネルギー加速器機器の放射線による照射損傷の指標として、DPA(原子あたりのはじき出し数)があり、この評価精度が施設設計や運転管理に大きく影響する。本研究では、粒子・重イオン輸送計算コードPHITSを用いて、荷電粒子に対するDPA値を正確に計算するために、クーロン弾性散乱からの寄与を含むように拡張した。その結果、陽子エネルギー20MeVを超える領域では、核反応により発生する荷電粒子の照射損傷に対する影響が大きくなることを明らかにした。一方、PHITS以外の計算コード(FLUKA, MARS等)において照射損傷モデルが近年開発された。高エネルギー領域のDPA値に関する実験データがほとんど無いことから、計算コード間の相互比較が損傷モデルの検証において重要となるが、ほとんど行われていない。そこで、本研究ではPHITSとMARSによるDPA値の計算結果の相互比較を行った。重イオン加速器で利用される130MeV/u Ge+Wにおいては、PHITSとMARSの計算結果はよく一致した。会合では、FLUKAとの比較、及び高エネルギー陽子・中性子照射についても言及する。